シャバに戻ってきた。ムショではない、千葉の山奥で10日間瞑想の修行に参加してきたのだ。 10日間、修行者同士の会話は許されない(指導者とは少し会話ができる)。更には会話だけではなく、歌や踊り、激しい運動、携帯電話、読書、メモ書きなどコミュニケーションのあらゆる手段が禁じられていた。
 僕が所属しているサークル、「東北大学動く会」風にわかりやすく言えば、「10日間コミュニケーション禁止生活」と「10日間娯楽禁止生活」と「1日12時間瞑想耐久レース」を同時にやっているようなものだ。







 結論から言うと、めちゃくちゃしんどかった。修行が始まって初日ですぐ辛くなり、何度か逃げ出そうかと考えたほどだ。インドの瞑想施設は塀で囲まれているらしいが、ここ日本の施設ではそんなことはなく普通に歩いて帰ろうと思えば帰れる。休憩の際もやることがないので、周りの人にあだ名をつけて心の中で呼んで遊んだりしていた(サークルの先輩に似ていたからえ◯うさんとか、アメリカ人だからピーターとか呼んでいた)。だが人間はやはり慣れるもので、5日目を越したあたりからあまり辛くなくなり気づいたら最後の日を迎えていた。

 「瞑想行ってくるわ!」と友達に話すと色々と聞かれることが多いので、カレーとは関係ないが書いてみようと思う。
以下では、項目ごとに分けてヴィパッサナー瞑想について紹介、解説していく。
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[千葉の施設はJR茂原駅からバスで30分ほど] IMG_2717
[野球場を改造したものらしく、広々としていた。キャンプ場みたい]  


なぜ参加したのか?

 単純に面白そうだったから。以前「動く会」で、「一週間コミュニケーション禁止生活」や、三人一組になり視力・会話能力・聴力をそれぞれ奪う「見ざる・言わざる・聞かざる企画」を企画しようと思ったことがあった。瞑想自体にはあまり興味が無かったが、10日間喋らないと人間はどうなってしまうのか??ということに単純に興味があった。あと、猫背を治したかった。
 知ったきっかけは、インドに滞在していた時に日本人の知り合いが参加していたこと。本当はインドで参加したかったが休みがとれなかったので、日本で参加しようと思った。日本では京都と千葉に施設があり、10日間コースが毎月二回開催されている。無料なので、興味がある人は是非行ってみてほしい。


 


  そもそもヴィパッサナー瞑想って何?

「ものごとをありのままに見る」という意味のヴィパッサナーは、インドの最も古い瞑想法のひとつです。この瞑想法は2500年以上も昔、インドで、人間すべてに共通する病のための普遍的な治療法、すなわち「生きる技」として指導されました。ヴィパッサナー瞑想に関するさらにくわしい説明は、ゴエンカ氏の講演『生きる技』をご参照ください。
(日本ヴィパッサナー協会webサイトより)

 めちゃくちゃ怪しいなおい。修行中の講話では、これは仏教の本来の修行法を実践面のみ取り出したものであり、誰でもこの瞑想法を取り入れることで心の平静を手に入れ、やがて解脱に至ることができるという解説がされていた。

 世の中には、呼吸をコントロールしてエクスタシーを得るもの、マントラ(呪文)を唱えて自己暗示をかけて幸せになれるものなど、数多くの瞑想法があるらしい。脳の松果体に直接働きかけて「Third Eye(第三の目)」を開き、脳内麻薬を出すものもあるとか。 そんな中でヴィパッサナー瞑想は、ひたすら「体の感覚」を感じることで心の平静を鍛え、人間を苦悩から解放し解脱に導くものであるらしい。未だ半信半疑だが、確かにストレスは少し軽くなった気はする。

また、10日間は以下の5つの戒律を守らなければならない。
1.生き物を殺さない。
2.盗みを働かない。
3.一切の性行為を行わない。
4.嘘をつかない。
5.酒・麻薬の類を摂らない。

蚊に刺されても潰しちゃいけないのがしんどかった。
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[ドミトリーでは20人くらい寝ていた。テント泊の人もいた。]





  こんな人にオススメ

・解脱したい人(しかし、悟りたいという渇望を抱いていると悟ることはできない)
・ストレス性の病がある人
・昔キメてた、または今でもキメている人
・心が穢れきっている人
・仕事や毎日の暮らしに閉塞感を感じている人
・12日間連続で休みがとれたが予定が無い人
・インドやタイ、エスニックな空気が好きな人
・ベジタリアン料理、精進料理が好きな人





  1日のスケジュール

修行中のスケジュールは時間割で厳しく決められており、従順に従うことが求められている。

午前4時:      起床
午前4時30分~6時30分:   ホールまたは自分の部屋で瞑想
午前6時30分~8時:   朝食と休憩
午前8時~9時:   ホールにてグループ瞑想
午前9時~11時:   ホールまたは自分の部屋で瞑想
午前11時~12時:   昼食
午後12時~1時:   休憩および指導者への質問
午後1時~2時30分:   ホールまたは自分の部屋で瞑想
午後2時30分~3時30分:   ホールにてグループ瞑想
午後3時30分~5時:   ホールまたは自分の部屋で瞑想
午後5時~6時:   ティータイム
午後6時~7時:   ホールにてグループ瞑想
午後7時~8時15分:   講話
午後8時15分~9時:   ホールにてグループ瞑想
午後9時~9時30分:   ホールにて質問
午後9時30分:   就寝


 マジで瞑想以外何もできない。1日12時間以上は瞑想をすることになる。また、暇な時間はすることが無いのでぼーっとしているか散歩しているか寝ているか。洗濯やシャワーの時間が異常に楽しかったのを記憶している。最初の三日ほどは雨だったので行動範囲が著しく狭まりしんどかった。




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[ある修行者が毎日同じルートを散歩しすぎて出来た道]




食事

 もちろん食事の時も黙って食べる。エサの時間になると鐘が鳴り、みんな一斉に食堂へと歩いていく。順番に列を作り好きなだけ自分の分を装う。席はカウンター席しかない。

 内容は基本的に和食の菜食。肉や魚は一切使わず、精進料理のようなものがメインだった。玄米ご飯を食べることができ、味噌汁は昆布だしのみだった。玄米を味噌や梅干しで食べるのがお気に入りだった。
たまにダルやじゃがいものサブジ、ココナツバナナケーキ、キールなどのインド料理が出ることもあった。昼食ではうどんやパスタがでることも。何日目に何を作るかはすべて決まっていて、ボランティアの人がマニュアル通りに作っている。
 午前中しか食事をとることは許されず、6時半に朝食を食べ11時に昼食を食べる。新しく参加した人限定で、午後5時のティータイムにお茶とともにポップコーンと果物をとることが許されていた。 IMG_2730
[鐘]




  変化したこと

・長時間座っていても平気になった。2時間胡座をかいて微動だにしなくても平気になった。
・痩せた。結構顔がやつれた。
・洗う前にちり紙で拭くなど、素早く食器を洗う術を身につけた。
・蚊に刺されても「全ては諸行無常」と考えて痒みが平気になった。
・1日500歩くらいしか歩いていなかったのでものすごく筋肉が落ちた。腕が一回り細くなってしまった。腕立て伏せしたら生まれたての小鹿のようにプルプルした。
・猫背は結局治らなかった。

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[瞑想を続けているとそのうち解脱するらしい]
参加していた人たち

 男性は30人ほど、女性は40人ほどの参加者がいた。国籍も様々で、インド人からアメリカ人、タイ人、マレーシア人もいた。

お話を聞いてみると、事情は人それぞれで
・パニック障害を治しに来た人
・禁酒をしに来た人
・仕事に行き詰まった人
・気持ちよくなれる瞑想法を探している人
・昔インドやアジアを旅していた人
・海外でドラッグまみれになっていた人

など様々な人がいた。ちなみに参加料は本当に無料で、運営や指導者の側も一切お金を受けとってはいないそうだ。指導の先生は普段は営業マンをやっているらしい。ヴィパッサナー瞑想を極めると心が平静になって仕事がうまくいくらしい。本当かな。


 


  10日間の沈黙を終えて

 10日目の午後からおしゃべりが解禁され、他の修行者と話すことができるようになった。
何しろ10日間黙っていたので、最初は人とどう話していいかわからなかったが、同じ苦労を耐え抜いた仲ということでみんなすぐに仲良くなった。
 自分の声を聞いて違和感があるし、喉がすぐに疲れてしまったが、他者とコミュニケーションがとれるということはこんなに楽しいことなのかと実感した。旅の話を聞いて、またインドやアジアに旅に出たくなってしまった。シャバに出て久しぶりに食べた飯はうまかった。

 しかし、一つ残念なことがある。実はこの瞑想の修行に参加したことで、自分に課した1日1カレーのしきたりを破ってしまった。インド料理は食事として出てはいたものの、10日中5日は全くスパイスを取ることができなかった。
ということで、今度自分へのペナルティとして「うんこ味のカレーを作る会」を開催します。

2017年12月13日追記: ↑あまり楽しくなさそうなので結局やりませんでした。 参照:日本ヴィパッサナー協会webサイト